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「宇宙作戦隊」徽章制定


宇宙の監視に専従する航空自衛隊所属の部隊である宇宙作戦隊の徽章が制定されたとの報道がありました。

昭和を感じさせるどこかレトロな徽章です。地球軌道を周回する衛星や宇宙ごみ(デブリ)の監視が任務とのこと。衛星軌道をイメージしたデザインということでしょうか。

徽章とは、所属している団体や組織、身分、職業などを示すために、衣服に付けるしるしのことです。いわゆるバッジです。

ところで、「宇宙作戦隊の徽章、かっこいいなぁ。勝手に商標登録してしまえ!」そんな人が現れたらどうなるのでしょう?困ってしまいます。

そこで、法律では、公益的な理由から商標登録を認めないと定めている標章があります。

代表的なものが国旗や菊花紋章(皇室の紋章)、勲章などです。国旗は日の丸のみではなく、外国の国旗も含まれます。また、国以外でも、国連や国際機関を表す標章なども登録が認められません。WHOやUNICEFなどです。

政府や地方公共団体などが使用する印章や記号などについても経済産業大臣の指定を受けると登録が認められなくなります。また、これらは条約を通じて外国とも相互に保護することになっています。宇宙作戦隊の徽章なども指定を受けていると思われます。

国家や国際機関でなくとも、例えば、赤十字やPKOのような人道的支援活動を行う機関を表す標章なども登録は認められません。

さらには、営利を目的としない公益団体を表す標章なども登録は認められません。例えば、今、まさに、話題のオリンピックやIOC、JOCなどがこれにあたります。ただ、最近では、「営利を目的としない」に疑問符がついてしまって残念ですが。

このように勝手に商標登録されると困るような標章については、法律で手当てがされています。しかし、それでも抜け漏れはあるかもしれません。そこで出てくる伝家の宝刀と呼ばれている条項があります。

それが、「公序良俗を害するおそれがある商標は登録されない」との規定です。何をもって「公序良俗」と考えるか?これは時代や状況によって変わります。法律の運用が硬直化しないように配慮しつつ、一個人に権利を占有させてはまずい公益的な商標を機動的に守っていくための規定ともいえるでしょう。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2021年6月号」から転載)