· 

Facebook 社名変更と商標

Facebookが社名をMETAという名称に変更しました。最近流行の「メタバース」から採った名称のようです。あわせて企業ロゴも変えました。

しかし、これがひと騒動となっています。

上述の記事では、ドイツと日本のスタートアップ2社のロゴと被ってしまって・・・となっていますが、「META」という名称、無限大を示す記号(infinity)のようなロゴ、いずれもありがちな名称やデザインであったため、これらを使用している企業は世界中に相当数があったようです。

しかも、単に使用しているのみならず、商標権を取得している企業も世界を眺めると結構あるようです。これまでも何度か取り上げてきたように、商標権を有効に取得していれば、たとえ相手がFacebookであっても対抗できます。

では、Facebookはどうしたか?

結局は、金に物を言わせて大人買いを始めたようです。まずは、アメリカから、名称やロゴが同一・類似の企業と交渉をして、権利を譲り受けています。一方で、Facebookに対して「2,000万ドル払ったら商標権を譲ってやる」と持ち掛ける企業も現れたとか。

商標権は、財産的な権利としての側面も持ちますので、金銭での売買等が認められています。日本でも、前述の記事にも出てくるように、アイホン株式会社がアップルから高額な商標使用料を受け取っていることなどは有名です。

この手の棚ぼた的な話は、しばしば見かけますが、自分が商標登録をして権利を持っていることが前提です。例えば、商標「META」の場合でも、商標権を持っているから2,000万ドルと交渉できるのであって、逆に商標権を持っていなければ、棚ぼたどころか、Facebookから商標使用の差止や損害賠償を請求される恐れさえ出てきます。もちろん、いまから商標「META」を出願しても手遅れでしょう。やはり大切なのは、自分が使う商標は、しっかり権利として登録しておくことです。

それにしても、ありがちな名称やロゴに変更しても動じないFacebookは、いろんな意味で凄い会社です。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2021年11月号」から転載)