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Facebook 10億人分の顔データを削除

「フェイスブック、投稿の顔認識を停止へ 10億人分の顔データは削除」とのニュースがありました。

従来、Facebookには、顔写真などが投稿された場合、Facebookが持つ利用者の顔データと照らし合わせて、顔写真と利用者の名前を紐づけるしくみがありました。今回の措置は、この機能を停止するとともに、これまで集めてきた顔データも削除するというものです。

近年の顔認識技術の発展は目覚ましく、生体認証や不審者の検出など様々な分野で利用されています。その一方で、記事にもあるように、プライバシーの問題や誤認識の際の人権にかかわる課題などがあり、昨今では、利用を制限する方向に動きつつあります。これは、Facebookに限ったことではありません。

案外知られていないことですが、顔データは「個人情報」にあたります。例えば、日本の個人情報保護法では、個人情報を「生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できる情報」と定義されています。生存する個人の顔データは、特定の個人を識別できるので、個人情報というわけです。

ビジネスにおいて個人情報を利用するにあたっては、本人の利用許諾を取る、情報流出しないように管理する、など、様々な条件が課されますが、顔データも個人情報である以上、扱いは同様です。最近では、入館管理などの目的で監視カメラの映像を保管していたりする会社も多くなってきました。これらのデータが流出すれば、個人情報の流出として責任を問われますし、これらの情報をビジネスに活用しようと思えば、本人の承諾が必要になります。

誰もが簡単に写真画像や動画を発信できる時代になりました。顔データの取り扱いについては、Facebookのようなネットビジネスを行う企業のみならず、あらゆるビジネスにおいて留意する必要のある大切なポイントと言えるでしょう。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2021年11月号」から転載)