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ダイソー「FENDI」の布を売る

100円ショップを経営するダイソーが、店舗で「FENDI」のロゴ入り布地を販売したとして書類送検されたとのニュースがありました。(出典:読売新聞オンライン 2023.3.3

この布はもともとFENDIが発注していたものの、不良品として検品ではじかれた端切れが市場に出回り、ダイソーの店で売られていたそうです。記事によると、書類送検された「社員は『仕入れ先に大丈夫だと言われ、必要な確認をしていなかった』と供述している」とのことです。

「検品ではじかれたとはいえFENDIが発注した正規品なのだから問題ないのでは?」と考える向きもあるかもしれません。しかし、不良品だから販売しないと決めたFENDIの意に反して「どうせ捨てるのならばもったいないから」との理由から無断で販売したとしたら、それはどうでしょう?FENDIのマークは品質の証でもあります。品質を保証できない不良品に商標をつけて販売されたらFENDIにとっては企業の信用にかかわるのではないでしょうか。

商標の大切な機能のひとつに「品質保証機能」があります。このマークがついている商品は、このレベルの品質が期待できるから購入しようと消費者が目安にするための機能です。皆さんも店舗で商品を選ぶ際に、ロゴマークやブランドネームを参考にして購入したりしていませんか?

正規のロゴマークがついているにも拘わらず品質の劣る商品が市場に出回ることで商標の「品質保証機能」が失墜すると、結果として、生産者のみならず、消費者も不利益を被ります。このように、商標の「品質保証機能」は、消費者保護の役割も担っているのです。

海外の有名ブランドは、ブランドイメージを毀損されることに対して敏感です。常に市場を調査して、自社ブランドを勝手に使っている企業や個人がいないか気を配っています。時には、これを弱い者いじめのように報道されてしまうこともあるかもしれません。

しかし、実は、商標によってブランドを守ることで、「品質保証機能」を通じて我々消費者も守られているのです。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2023年3月号」から転載)