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改正法の方向性:デジタル空間での保護が強化される?

知財関連法の改正案トピックのふたつ目は「デジタル空間での保護」です。こちらは不正競争防止法の改正で対応の予定です。

具体的には「商品形態の模倣行為について、デジタル空間上でも不正競争行為の対象とする」との法改正案になっています。

不正競争防止法では、不正競争行為を列挙して定めています。この列挙された不正競争行為は不法行為(法律に違反した行為)とされ、差止や損害賠償の対象となります。

この列挙された不正競争行為のひとつが「商品形態の模倣行為」です。読んで字のごとく、他人の「商品」の「形態」を勝手に「模倣」してはいけないですよと定められています。

ただ、不正競争防止法に違反した「商品形態の模倣行為」とされるにはもうひとつ要件があります。それは「行為」とは何かです。

法律では厳格に規定されており、「行為」とは、「譲渡、引き渡し、譲渡もしくは引渡しのための展示、輸出、輸入」となっています。これらはいずれも現実世界で行われる行為です。「商品形態の模倣行為」の対象となるのは「形(形態)」がある「商品」なので実体があるはずだとの前提で法律が作られてきたわけです。

しかし、最近では、デジタル空間で「形(形態)」がある「商品」の売り買いがされることも一般的になってきました。例えば、アバターなどのデジタルコンテンツが代表例でしょう。

法改正案では、「電気通信回線を通じて提供」が行為に追加されました。これによって、デジタル空間内で譲渡等が完結する商品でも不正競争行為とされ、差止や損害賠償を請求できることになります。

今回の改正案では、手続のデジタル化や国際的な事業展開に関する制度整備なども盛り込まれています。ご興味を抱かれた方は経済産業省サイトをご覧になると詳細な解説が掲載されています。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2023年4月号」から転載)