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知財経営支援ネットワークを強化!

知財経営支援ネットワークが強化されることになりました。といっても、知財経営支援ネットワークって何?という方が多数ではないでしょうか。

知財経営支援ネットワークとは、2023年3月に、特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本弁理士会及び日本商工会議所が、地域の中小企業・スタートアップ等への知財経営支援の強化・充実化に取り組むために連携して構築した協業体です。通称「四者連携」と呼ばれています。

知的財産というと特許庁や弁理士が強い分野ですが、それぞれの地域の中小企業・スタートアップ等へ働きかけを進めるために日本商工会議所と協力して支援事業を進めてきました。私も、弁理士会では中小企業やスタートアップ支援を中心に会務活動をしていることもあって、今年は、知財経営支援ネットワークに関連する事業で全国各地に出かける機会が増えました。

そして、今月発表されたのが知財経営支援ネットワークの強化、すなわち、中小企業庁の参加による「五者連携」の締結です。(出典:経済産業省 2024.12.4

経済産業省によると、近年問題視されている事業者間の知的財産に係る不適切な取引に対処するための支援体制を強化することが目的であると発表されています。

近年、知的財産権を巡っては、発注企業が受託企業に商品や技術の中核となるデータの提供を求めたり、受託企業が発注企業の指示で作った商品に対して特許侵害を申し立てられた場合に責任転嫁されたりするといったいわゆる「下請けいじめ」が問題になっています。

先月のIPビジネスだよりでもフリーランス法の施行についてお伝えしましたが、日本経済の活性化を目指す経済産業省にとって、新しい技術の担い手である中小企業やスタートアップ、そしてフリーランスを守ることは至上命題となっています。

そのような中、経済産業省の外局である特許庁と中小企業庁の連携を図って、中小企業やスタートアップによる知的財産を中核とした新しい産業創出を後押しするとともに、これを邪魔する不合理な動きは牽制するという活動になっていくものと思われます。

新しい年は、知財経営支援の強化・充実化が一層進むことを期待します。

一方、これで私は来年も、弁理士会を通じた支援活動が益々忙しくなりそうな気配です。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2024年12月号」から転載)